総合学習の目的と経緯

本校では、生徒達に自分の生まれ育ったふるさと敦賀(福井)の良さをよく理解してもらい、将来いかなる場所で活躍するにしても、ふるさと敦賀(福井)を拠り所として、自信と誇りを持って行動できる人となってほしいと考えています。
こうした取り組みの一環として、総合学習「ふるさと敦賀塾」が計画され、これまでに地元敦賀の歴史や文化についての学習をすすめ、敦賀市立博物館の協力を得て、出前講座や特別出張展示会の開催など、様々な取り組みを行ってきました。
このような流れの中で本年度は、これまでの歴史や文化からの視点に加え、自然科学(理科)からの視点を加味し、ふるさと敦賀の自然を通して、自然に親しみ自然を愛する心を育む取り組みを行うこととなりました。

実習地;中池見湿地

総合学習の実習地として選定した場所は、市街地(敦賀駅)の北東に位置し、市街地から見て天筒山の裏側にあり、脇には国道8号線も通る『中池見湿地』です。学校からは離れた場所ではありますが、『中池見湿地』を実習地として選定した理由は次の3点からです。
第1に豊かな自然が残っていると言うことです。
『中池見湿地』は袋状埋積谷という独特の地形に発達した低層湿原で、生物層が限られていると言われる泥炭湿原でありながら、生物の多様性に富んだ場所です。こうした事実は、オックスフォード大学から出されている地質学に関する教科書に、「特筆すべき世界の三大湿原」の一つとして掲載されているほどです。
第2の理由は、『中池見湿地』全体を市が管理している場所(市有地)であると言うことです。本校が建つ沓見地区にも豊かな自然が残されており、実習地として選定しても十分な環境があります。
しかし、先にも述べたように本校の生徒が市内外から通学しているため、本校周辺に土地勘のない生徒が多く、野外活動に関して安全の確保が困難があると考えられました。そこで、敦賀市から都市公園の指定も受けている『中池見湿地』での活動とすることにしたのです。
第3の理由として、『中池見・人と自然のふれあいの里』と言う施設があると言うことです。『中池見・人と自然のふれあいの里』は、『中池見湿地』の自然とそこに関わった人々の暮らしの様子などを伝えるためにもうけられた施設であり、『中池見湿地』の地下に眠る泥炭からわかる古代の様子の復元展示や、福井県(日本全国)で希少となっている種(動植物)の保全などを行い、かつて行われていた湿田での農作業体験もできる自然に関する生涯学習センター的施設です。したがって、ここには『中池見湿地』に詳しい学芸員が常駐されているので、十分な観察指導をしていただけるからです。

サイエンス・パートナーシップ・プロジェクトについて

昨今我が国では、青少年をはじめとする国民の「科学技術離れ」「理科離れ」が指摘されています。この状況に対し文部科学省は、科学好き、理科・数学好きな児童生徒を増やすための施策「科学技術・理科大好きプラン」を平成14年度より開始しました。
この、児童生徒の科学技術、理科・数学に対する関心を高め、学習意欲の向上を図り、創造性、知的好奇心・探求心を育成する総合的・一体的施策の中心にあるのが、サイエンス・パートナーシップ・プロジェクト(略称SPP )です。
SPPは、独立行政法人科学技術振興機構(略称JST)によって運営され、様々な最先端の研究成果や研究施設・実験装置を有する大学、公的研究機関、民間企業、科学系博物館、学会等と、中学校や高等学校等の学校現場との連携により、児童生徒の科学技術、理科・数学に関する興味・関心と知的探求心等を一層高める機会を充実することを目的とした事業で、「招へい講座」「連携講座」「教員研修」などからなっています。
今回、『敦賀市・人と自然のふれあいの里』と連携して行う本校の総合学習について、SPPの意に沿う取り組みであるとの判断をいただき、JSTより平成19年度SPP講座型学習活動として採択していただきました。

参照
http://puh.web.infoseek.co.jp/ikemiframe.htm

4月21日(土)、総合学習「ふるさと敦賀塾」平成19年度開講式が『中池見・人と自然のふれあいの里』において行われました。

学校長挨拶

将来本校を卒業して、君達は市外、県外といわず、国外へもその活躍の場を広げることでしょう。
その時あなたを助けてくれるものは、学校で学んだ知識や苦労して取得した資格だけではないはずです。
むしろ、人と人とのコミュニケーションをスムーズにするのは、君達が生まれ育った土地の文化であり、伝統であったり、自然だったりするのです。
今年は、この中池見湿地で学習することになりました。
中池見湿地は世界の中で見ても貴重な自然を持った場所なのです。
この中池見からたくさんのものを吸収して、この1年大いに成長してほしいと思います。

『中池見・人と自然のふれあいの里』の寺崎館長より歓迎のご挨拶をいただきました。

館長挨拶

今年1年、皆さんの学習のお手伝いをすることになりました。
中池見湿地という場所は、校長先生が述べられたとおり、貴重な自然が残る場所です。
そして、今皆さんがおられる『中池見・人と自然のふれあいの里』は、手作業で耕作していた頃の農村の様子を皆さんにお伝えする場所です。
そこで、一つ皆さんにお願いがあります。
それは、中池見湿地には何も持ち込まず、何も持ち出さないということです。
大切な自然を守るために協力してください。

この後、実際に指導していただく『中池見・人と自然のふれあいの里』の主任学芸員の筒井さんと、同じく学芸員の小橋さん、それから福井県ナチュラリストリーダーで環境省の行っている「モニタリング1000」の調査員でもある笹木さんの紹介を行い、さっそく講習会がスタートしました。

(第1回活動テーマ) 自然の色探し


小橋学芸員
皆さんおはようございます。今日は皆さんは朝ご飯を食べてきましたか?
元気な皆さんと、中池見の自然を見ていきたいと思います。
ところで、皆さんは「みる」という字はどんな漢字を書きますか? 「見る」「観る」「視る」「覧る」いろいろな漢字が出てきましたね! 「みる」という字はこのほかに、まだ二つくらいはあると思います。 そして、「みる」という漢字にはそれぞれの意味があります。 今日の観察会では、いろいろな「みる」を体験してもらい、残りの二つの漢字も感じることができたらと思います。
ところで今日の各班への課題は、「黄色い花探し」です。
今日は特別です。黄色い花を見つけたら各班で一つだけ採集してきてください。
ただし、同じ花にならないように気をつけてください。
それでは出発しましょう。
さっそく発見♪
水の中にはないでしょう
おっかなびっくりの木道
これは何だ?
そんなに怖がらなくても・・
さあ、皆さん聞いてください!
ここにあるのは「オオアカウキクサ」という名前の植物です。
昔の田んぼにはどこにでもありました。でも、今はここだけにしかありません。
ガマ田にて
このような生き物を「希少種」といったり、「絶滅危惧種」といったりします。
こうした生き物をまとめた本を「レッドデータブック」といいます。
本当は薄い本であってほしいのですが、現在はとても厚い本になっています。
トトロの木?
どんな味?ネギみたい
ナチュラリストリーダー笹木さん
きれいなお花畑に着きましたね。
ここに咲く黄色い花の名前はなんというでしょうか?
よく見てください、キク科の植物ですよ。
花はどのような形をしているでしょうか?
この花は、丸く車輪のように見え、このような湿地によく咲きます。
このことから「サワオグルマ」という名前がついています。
こんなところにも花はあるんだよ
この場所は南向きで暖かく、冷たい風も後ろの山が遮ってくるのでたくさん咲いています。
もうしばらくすると、さらにたくさんの濃い黄色い花が咲き乱れます。
ゴヨウアケビの可憐な花
かわいらしい蕾
さあ、集めた黄色い花の数を教えてください。
みんなで確認していきましょう。これは「タンポポ」。このタンポポには「ニホンタンポポ」と「セイヨウタンポポ」の二つがありますよ。見つけられましたか?
アッ!ホントだ!!
黄色いタンポポ
でも黄色といってもどんな黄色なのかな?「カラーカード」を使って調べてみましょう。
筒井主任学芸員(右側)
さあ、皆さんは今日、いろいろな「みる」を体験しました。
宿題の「みる」は、「診る」と「看る」です。
でも、もう一つ「みる」がありますね。
それは、「 TRY − やってみる」の「みる」です。
これからも、いろいろなことに挑戦してみてください。