活動オリエンテーション(小橋宏充学芸員)

皆さん、こんにちは。
中池見湿地を舞台にした活動もいよいよ2年目に入りました。
1年目の活動のキーワードは「見る」と言うことで、デジタルカメラを使って、様々なものを見てきてもらいました。
3月に行われた成果報告会を見せていただきましたが、昨年1年間で皆さんは、本当に多くのことを学ばれたのだと感心しました。
しかしながら、中池見湿地のことが全てわかったかというと、そうではないことを皆さんも承知していると思います。
そこで、2年目の活動のキーワードとして、皆さんに「比べる」と言う言葉を示したいと思います。
講式において、校長先生から論文の話が出てきましたが、物事を良く理解して、わかりやすく他の人に伝えるためには、「比べる」と言うことが非常に重要になってきます。
1年目は、ただ単にデジタルカメラで写してみるということに挑戦してもらいましたが、2年目となる今年は、写したものを見比べることによって、さらなる飛躍をしてほしいと願っています。
ところで、ここ「中池見・人と自然のふれあいの里」は、湿田の生態系の保全を目的の一つとする施設です。
皆さんの身近にも田んぼはあると思いますが、この中池見湿地の田んぼとは少し様子が違うことに気がついた人はいますか。
皆さんのよく見る乾田化された田んぼと、中池見湿地の深田とでは、耕作の仕方に違いがあります。
今年は皆さんに、中池見湿地で行われている耕作の仕方を通して、湿田の生態系の保存について考えてもらいたいと思います。
そこで、この中池見湿地で農業に携わられ、現在は「中池見会」という組織を作って「中池見・人と自然のふれあいの里」の保全活動に協力していただいている高木さんのお話を聞いてもらいたいと思います。

春の農作業(高木 健 会長)

皆さん、春に行う最初の農作業が何か知ってますか。
それは、「株抜き」です。
秋に稲を刈って残った株を一つずつ引き抜いて、田んぼを起こしやすくするのです。ところが、ここでは「株踏み」といいます。深田ですから、株を一々抜かなくても、踏みつけて押し込めばいいのです。とは言っても、簡単なことではありません。深田の中でバランスを取って、足が抜けなくなることを防ぐために、このような棒を使います。
二叉の杖を両手に持って行う「株踏み」の様子

これは、先が二叉に分かれた木の枝で、二叉に分かれた方を下にして、泥の中に沈まないようにしながら使います。
現在も近くの水田で行われている「コロタ引き」の様子
後は、田を耕していくのですが、苗を植える前には「コロタ引き」と言って、杉の丸太を引いて田んぼを水平になるようにならします。
こうして「植えしろ」ができあがり、次に田植えとなります。
皆さんも、こうした定規を押して等間隔に苗を植えていく様子を見たことがあるかもしれません。
見かけることも多い定規を使ったやり方(これでは、後が残らない)
しかし、ここではこうして植えることは出来ません。下がトロトロなので、跡が残らないからです。
ここでは、糸を張ったり、このような熊手のようなものを引いて植える目安を付けます。
熊手のような定規(間隔も普通のものより広い)実演は、中池見会の坂口信男さん
そして、植えるときも、前に植えていったのでは植えた苗がどこかに行ってしまいますので、後ずさりしながら植えていきました。
以上大まかですが、春の作業についての説明を終わります。

指導員紹介

今年の参加者は、去年より多くなりましたので、10班編制で活動することになりました。
指導していただくのは、昨年もお世話になったNPO法人ウェットランド中池見の皆さんです。
今回は、2年生と3年生だけの観察会ですので、指導員の方の紹介は省略させていただきました。
さて、次回からは1年生も加わりますので、この時に指導員の方の紹介をしたいと思いますが、人数が今回の倍近くになります。観察会のガイダンスをどこでするか、今から心配です。

カメラ撮影に関して(池上 博 指導員)

今回の観察会では、「接写」に挑戦してください。
何かを比べようとするとき、その細部に至るまで詳しく見ることが大切です。そのために昔の人は、虫眼鏡や顕微鏡といったものを活用してきました。
今、皆さんは虫眼鏡や顕微鏡といったものを持ってきていませんが、皆さんが持っているデジタルカメラは、その代わりに使えるのです。
デジタルカメラを使って、拡大して見るやり方を「接写」と言います。
すでに、昨年からチューリップマークを表示させて撮影をしていると思いますが、それが「接写」モードというものです。
今年度新しく導入したデジタルカメラは、この機能が今まで以上に充実しています。
まず、上にあるダイヤルを「C」に合わせてください。
そして、レンズの横にあるチューリップマークをしばらく押してみましょう。
どこを押すの?
すると、画面に「スーパーマクロ」という表示が出ると思います。この状態にすると、被写体にくっつく位に近づいてもきれいな写真が撮れます。
この機能を利用して、たくさんの花の写真を撮ってみてください。
これ、な〜んだ?

春の観察会

オリエンテーションが終わり、早速観察会スタート。
園路で最初に見つけたのはトノサマガエルの卵塊でした。
球状の固まりになっています
木道を歩いていくと、ミツガシワの白い花が目に付きました。
頑張りました
この近くの水路では、ヒキガエルの卵塊を見つけました。
こちらは紐状になっています。
次に見つけたのは、カキドオシとヒメオドリコソウです。
どっちがどっち?
在来種のカキドオシ
外来種のヒメオドリコソウ
「中池見・人と自然のふれあいの里」を出て、湿地エリアに来ました。早速、生きもの採集大会です。
何かいるぞ!!
見て!見て!
捕まえたのはニホンアカガエルとそのオタマジャクシ
シュレーゲルアオガエルのペア
その近くのあぜの中に卵塊発見!
白い泡に包まれています。
シボラ道に入ると今度は木の下に注目。
シュンランの花畑がありました。
途中で、指導員の吉田さんが持ってこられたフィールドスコープで鳥も観察しました。
獲物をねらうカワセミ
梢に止まるシロハラ
春は見所がいっぱいです。あっちを見たり、こっちをのぞいたり、シャッターを切る音が絶えません。
「やっぱりネギの味がする。」
去年習ったことをしっかり覚えてくれていました。
春と言えばタンポポ。
道沿いに咲くタンポポを並んで観察中!?
ゴール地点到着。
みんな、まだまだ元気です。
観撮すんで
指導員の方が誘う声、同行した教員が急がせる声、聞こえていたのでしょうか。あっちで座り込み、そこでは覗きこみ、こちらではガヤガヤと、少しも予定通りには進みませんでした。気がつくとカメラの撮影総数は2000枚!!

小さな写真をクリックすると大きく表示します。

JavascriptまたはFlashを有効にして下さい。

春の観察会のまとめ(小橋学芸員)

皆さん、今日の観察会はいかがでしたか。
今年度は「比べる」と言うことをテーマに活動したいと言いましたが、観察を始めてすぐにカエルの卵塊を比べることが出来ましたね。
また、何気なく見ていると「きれいな花が咲いている」と思うかもしれませんが、実は浸食力の強いヒメオドリコソウと言う外来種があることも知ってもらえたのではないでしょうか。
ところで、このヒメオドリコソウは園内で駆除しているのですが、その一部を草木染めの染料に使っています。
実際に、どのように染まるのかというと、このようになります。色が違いますね。これは、色を定着させるときにアルミニウムを使ったか鉄を使ったかの違いでこうなるのです。
このように、私たちの身近なところにも、比べてみると「ヘー」と思うようなことがたくさんあります。今日の、そして今年の活動を通して「比べる」ことの楽しさを味わってください。

最後に比べてみよう(笹木進指導員)

皆さん今日はお疲れ様でした。
さて、今私が持っている花を見て、どう思いますか。
同じ花に見えますね。
でもよく見てください。
カメラで写してもいいですよ。
花はこんなに似ているのに、違う種類の花なのです。
何かわかりましたか。そうですね、葉の形が違います。
一つはヒメオドリコソウで、もう一つはホトケノザという在来種です。
ヒメオドリコソウの方は、葉が三角形をしていて、密生しています。
一方ホトケノザは葉先が丸く、横から見るとお皿のようになっています。
ただ見ているだけではわからいことでも、よく見て比べると見えてくるものがあるのですね。
皆さんもこの1年間、私たちと一緒によく見て比べていくましょう。

良く見比べてみましょう

ヒメオドリコソウ
ホトケノザ