9月18日(土)、敦賀気比高等学校付属中学84名が「中池見 人と自然のふれあいの里」に集合しました。
これまでに行われた今年度の観察会は、天候に恵まれませんでしたが、この日ばかりは晴れ間が広がり、生徒達の足どりも軽やかでした。

活動オリエンテーション(筒井宏行学芸員)

皆さんこんにちは。
これまでの観察会は雨が降っていることが多かったのですが、今日はよく晴れています。皆さんにとって今日の天気はどのように感じますか?
夏休み中も晴れていましたが、酷暑という言葉を聞いたことがあると思いますが、本当に暑いというイメージしか残らないような晴れ方ではなかったでしょうか!?
それに対して今日の晴れ方はというと、清々しいという感じがしませんか!?
ところで、皆さんは「てんき」と聞いてどのような漢字を思い浮かべますか?今まで晴れたの雨だったのという話しをしましたから、気持ちの「気」を書く「天気」という言葉が頭に浮かんだと思いますが、その他にはどのような漢字が書けるでしょうか?私が紹介したいのはチャンスという意味を持つ機会の「機」を書く「天機」です。
水曜日の日(9月15日)に、皆さんは近畿大学の池上先生のお話を聞きましたが、そこで中池見湿地があるような場所を里地・里山といって、近年その重要性に注目が集まっているということを学んだと思います。これまでは、経済的価値を基準にして価値がないと思われていた場所ですが、実はそこに大きな価値があって、保全したり復元したりすることが大切で、様々な人が協力し合って、そうした活動が始まっているというのです。
私が別の機会に池上先生と話したときに、皆さんには話されなかったことを聞いています。それは、里山や里地に関して、仕事をする人や調査する人など個別的な専門家はいるけれども、それらをトータルで見ることのできる人がいないのが現状であり、その様な専門家をつくりたいと思っているとおっしゃっていました。できれば、ここにいる皆さんの中から一人でもそうした専門家が出てきてほしいと願っています。
つまり、皆さんの活動は「天機」に巡り会った活動であるといえるのではないでしょうか!?
ただ、目の前にチャンス(機)があったとしても、皆さんにモチベーション(気)がなくてはなにも起こりません。今日のこの一日というのは、一生の内でも今日しかない一日です。やる気を持って活動してください。そうすれば、好奇心というものが芽生えます。この好奇心を大切に持って歩けば、探検心が生まれ、今まで味わったことのない経験ができるはずです。
今日の観察会では、こうしたことに意識して活動してほしいと思います。そこで、二つばかり気をつけてほしいことを言いたいと思います。
まず第1に、しっかりと記録をとりましょうということです。
これは、ここで行われている標本教室の時にいつもいうことですが、意味や価値があるものにするためにはラベルが必要で、そこに書かなくてはならないのは採取日、採取場所、採取者の三つです。ならば、標本の名前はどうなのかというと、空白でもかまわないのです。なぜなら標本というのは、そもそも名前がわからないから後で調べようということでつくるものだからです。しかし、先にあげた三つは、次に調査をしようとするときになくてはならない大事なものだからです。
皆さんの活動はこれからも続くのではないかと思いますが、何年か後の後輩達が見て、「あぁ、この時こんなことをしていたんだ」とわかるようにしておいてほしいと思います。
第2番目としては、周囲に気を配ろうということです。
生き物たちはそれだけで生きているわけではなく、色々な生き物と関わりを持って生きていますから、調査をする対象でないものでも周辺の状況をよく見て記録することは大切なことです。
また、探検心を持って活動していたとしてもケガをしたのでは元も子もありません。特に秋口になり、スズメバチなどの活動も活発になっています。また、茂みに隠れているマムシに遭遇することも考えられますから、自分のいる場所がどのような状況にあるか、しっかり確認しながら活動してください。

ミーティング

各班でミーティングをして、手際よく活動できるように役割分担の確認や、活動内容の打ち合わせを入念に行いました。
全員集合
今日の計画はなに?
今日の班活動は・・・
役割確認、ヨシ!!
出発準備中

それぞれの班のミーティングが済んだところから、三々五々スタートしました。
班活動の様子をのぞいてみましょう。

3班は、保全活動の一環として「草刈り」に挑戦です。

今回、草刈りに挑戦するのは、オオアカウキクサが生育する研究田横にあるヨシにおおわれた場所です。
今日のために、あぜ付近の草刈りだけされていましたが、背丈を超える草原ですので、ふつうの鎌を使ってと言うわけにはいきませんので、草刈り機を使って草刈りに挑戦することにしました。
草刈り前の作業地
今回使った草刈り機
安全を考えて作業着と防護面を着用
まず使い方の説明です。
キャブレターの下のポンプを押して燃料をおくります
ロープを引っぱってエンジン始動
生徒一人一人に指導者がついて草の刈り方を説明しました
操作に慣れてきたところで、自分のペースで草刈りに挑戦です
縦に草刈りがすんだら交代。
交代するときにはエンジン停止。エンジンの横にある赤いボタンを押すと止まります。
男の子も女の子も草刈りに挑戦しました。
作業が終わって木陰には行って作業着を脱ぎます。
初めての体験を終え、ちょっぴり誇らしげです。
草刈り後は、刈った草をあぜに集めて終了。
緑の帯が切れている場所が今回草刈りした場所です。

その後

刈り取った草を運び出しきれいになったところ
刈り残されていた草が刈り取られました。
今回の草刈り体験では、大きな草を腰高に切ることしかできませんでした。
そこで、指導員の方の手によって、観察会が終わった次の日から後始末が行われました。
次回はここを舞台に、新たな体験活動をする予定です。
手前の刈り残しはオオニガナ、奥にあるのはコガマの群落

2班は貴重な水生生物のための生息環境の整備を行いました。

指導員の先生の指示で一斉に泥の中に手を入れて生き物探し。
見つかったのは、ドジョウやヤゴでした。
続いて行ったのは草刈りと水路の確保です。

6班が行ったのは、薬草の調査です

最初に向かった先は、ハス田です
ハス田で探し出したのは、ハスの実です
もし、野良仕事をしていてケガをしたらどうしましょう?そんな昔の応急処置の方法も教えてもらいました。
使うのはチドメグサ
よく揉んで傷口に張り付けます
次に葉丈の長い草を包帯がわりに使って
手当完了

秋の観察会は、楽しいことがいっぱい

最初にオリエンテーションを行ったビジターセンターを出てすぐの所では、「中池見 人と自然のふれあいの里」の作業支援団体である「中池見会」の皆さんが稲刈りをされていました。
手際よく刈り取られたイネは、束ねられて近くのハサバに運びハサ掛けされていました。指導員を務められている「ウェットランド中池見」のメンバーの方は、日頃は中池見湿地での保全活動や調査活動などをされています。
そうした活動の一端を紹介したいということで、この日はテレビ局と新聞社から取材陣が来られていました。
樹木調査をしていた4班もどのような調査をしているのかインタビューされました。
こちらは先ほど紹介した6班。少し早い時期でしたが、栗を見つけてイガむきに挑戦中です。
そこに取材陣が通りかかり、イガむきの様子を取材されました。

今回も、それぞれの班で課題を持った活動をするといううことで、NikonのS10とCANONのS5の2台体制で行いました。
とはいえ、カメラの撮影総数は、826枚!!力作をご覧下さい。

秋の観察会のまとめ(筒井学芸員)

皆さんは、それぞれの班でテーマを決めて活動しましたので、それぞれの班で今日一番の収穫を報告してもらいましょう。
1班はツリガネニンジンです
2班はドジョウを捕まえたことです
3班は草刈り中にカヤネズミの巣を見つけました
4班はたくさんの外来種を見つけたことです
5班です。クモの巣をヘディングしました
6班はハスのタネを集めたことです
8班は遠くにいたタカの写真を撮れたことです
7班は、調査した所の水温がみんな違ったことです
それぞれの班で、それぞれの収穫があったようですね。
今年の観察会は、各班でテーマを決めて独自の活動をするスタイルをとっています。ですから、皆さんが体験したことはその班の人だけが知っていることで、他の班がどのようなことをしていたのか、どのようなことが体験できたのかはわかりません。
ここで各班の班長さんに話してもらったようなことを、学校に帰ってからも話し合って、情報を交換してみてください。そうすると、また別の発見があるかも知れません。そして、そうしたことも含めて記録に残しておきましょう。今日の皆さんの活動の意味というものに、さらなる価値が生まれるはずです。
これで今日の観察会を終わります。

最後に

観察会を締めくくるに当たって、生徒代表から講師の皆さんに感謝の言葉を述べました。
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