11月20日(土)、敦賀気比高等学校付属中学84名が「中池見 人と自然のふれあいの里」に集合しました。
さて、この日の観察会ですが、これまでに天候に恵まれないことが多かったのですが、晴れ間が広がって、初冬のこの季節にしては暖かく、生徒達の足どりも軽やかでした。
ところで、「ふれあいの里」の木道ですが、計画されていた改修がようやく始まり、これまでと少し違った雰囲気になっていました。
昨年までテラスと木道を使って開講式を行っていた場所の木道と、わらぶき屋根の家に通じる木道がなくなったのです。
ビジターセンターにやってきた生徒達も今日はチョット違った雰囲気にビックリした様子です。
新しくなってるぞ!
ビジターセンター到着

活動オリエンテーションに先立って

いつも観察会でお世話になっている、NPO法人ウェットランド中池見の皆さんが、大きな賞を受賞されました。
それは、1959年に創設され、今年で第52回となる福井の地域文化の発展に貢献した方や団体に贈られる伝統ある「福井新聞文化賞」を受賞されたのです。
この賞の贈呈式が11月5日に、福井新聞社・風の森ホールにて行われました。
贈呈式の様子 詳しくは、福井新聞オンラインを見てください。
福井新聞ON-LINEへアクセス
クリックで拡大表示受賞の様子を伝える
11/6付の福井新聞
NPO法人ウェットランド中池見の笹木理事長にお祝いの言葉を述べる生徒
このことを、お祝いしたいということで、活動オリエンテーションに先立って、生徒代表よりNPO法人ウェットランド中池見の皆さんにお祝いと感謝の言葉を述べました。
福井新聞社文化賞の受賞おめでとうございます。
私たちがこうした活動をすることができるのも皆さんのおかげで、皆さんには中池見湿地についてたくさんのことを教えていただきました。
これからも、中池見湿地に関わる取り組みを続けられるとおもいますが、健康に気をつけて活動してください。
そして、私たちのご指導もよろしくお願いします。

活動オリエンテーション(筒井 宏行 学芸員)

皆さんこんにちは。
早いもので、今日がこの中池見湿地で活動できる最終日となってしまいました。これまでは天候に悩まされ、思い通りの活動ができなかった班も多かったのではないかと思いますが、今日はご覧の通りの「小春日和」ですから、十分に活動できるのではないかと思います。
さて、こうして皆さんが集まるのはまさに「機会」、英語でならば「チャンス;chance」ということになるという話を前回したと思います。
よく「チャンスがきた」などという表現をしますが、「チャンス」は偶然に向こうからやってくるものではありません。「チャンス」というものは、実は身近なところにたくさんあって、それを見つけ出して捕まえるということが大切なのではないでしょうか!?
皆さんが今年行っている活動は、こちらが用意して行ってもらっているわけではなく、皆さんが希望をして行っているものです。つまり、皆さんは一つのチャンスをつかんだということになります。ですから、せっかくつかんだチャンスを最大限生かした活動を行ってほしいと思います。そして、やり残したことがないように、やりたいことに積極的に挑戦してください。
とはいえ、自分たちが希望したテーマで活動できない人もいると思います。そうした人は、「チャンス」を逃したわけではありません。
先ほどもいったように、「チャンス」は身近なところにたくさんあって、それを見つけ出せていないだけなのです。
「チャンス」を見つけ出す方法は簡単です。それは「楽しむ」ということです。他の班でおもしろそうなことをやっているとか、あいつは楽しそうにやっているのにということを思うのではなく、自分はどうしたら中池見湿地で楽しめるのかということを考えてください。
そうすれば、必ず自分にあった楽しみ方が見つかるはずです。
さて、今日は絶好の観察日和です。早速にでも活動を初めてほしいと思いますが、注意を一つだけしておきます。今年は山に食べ物が少ないらしく、クマやイノシシが里に下りてくることが多いようです。この中池見湿地でもイノシシが歩き回った後が方々で確認できます。また、山向こうの方では子連れのクマ3頭が目撃されたという情報もあります。
指導員の方はクマ除けの鈴を持っておられますし、大人数でいろいろ話し合いながら観察していきますので滅多なことはないと思いますが、そうした列を離れて一人で勝手な行動をとった場合に危険な目に合うことも予想されます。
指導員の方の注意をよく聞いて、安全な観察を行えるように皆さんも気をつけてください。

注目を集める中池見(笹木 進 氏 福井県ナチュラリストリーダー)

皆さんは「COP10」という言葉を聞いたことがありますか?
簡単にいうときには「生き物会議」と呼ばれたり、ちょっと難しくいうと「生物多様性条約締結国会議」といったりします。その会議が、先月の10月18日から名古屋で開かれていました。
実は、私たちの「NPO法人ウェットランド中池見」や、「NPO法人中池見ねっと」は、会議が行われた会場で様々な発表を行ってきました。
中池見を取り上げた資料
また、その会場には、この中池見湿地を取り上げたパンフレットが、このようにたくさん置いてありました。
この他にも、「COP10」の公式視察の一つにこの中池見湿地が選ばれ、多くの視察者をここにお迎えしました。
どうして、このようなことになっているかというと、いうまでもなく、この中池見湿地という場所に多くの人が関心を寄せているからに他なりません。そして、その興味の的となっているのが「生物の多様性」ということになります。
クリックで拡大表示公式視察の様子を伝える
10/24付の福井新聞
夏の観察会の折に紹介したように、こうした中池見で生活する生き物についての調査を行っており、皆さんも観察会で見たと思いますが、デンジソウ・オオアカウキクサ・オオニガナなどの植物、メダカ・ノジコ・カヤネズミといった動物など、この中池見湿地には非常にたくさんの生き物が生活しています。
こうしたたくさんの生き物が生活できるのは、単に豊かな自然があるということばかりではありません。水田を作ったり、里山の手入れをしたりといった人の手が関わって成り立っている場所であるということも、多くの生き物が生活する重要な要件になっています。
私たち「NPO法人ウェットランド中池見」では、こうした多くの生き物が生活できる環境を保全する活動も中池見湿地で行っており、こうした活動を含めてユネスコの「未来遺産」の登録を受けることになりました。
そして、今注目を集めているのは、この中池見湿地のような人と自然が共生する場所、いいかえるならば「里地・里山」という場所の役割なのです。
こうした重要な意味を持つ場所が皆さんの身近にあるということ、そして、そこがどのようになっているかを体験することは、将来がある皆さんにとっては非常に重要なことであると思います。
今年の観察会は今日で終わりですが、皆さん一人一人が何かを感じてこの中池見湿地を後にしてもらえたらいいなと思います。

ミーティング

各班でミーティングをして、手際よく活動できるように役割分担の確認や、活動内容の打ち合わせを行いました。
全員集合
これまでの活動を振り返ると
今日は何をしようか
今日の計画は・・・
役割確認、ヨシ!!
事前確認しておこう

それぞれの班のミーティングが済んだところから、三々五々スタートしました。
木道脇で、「ふれあいの里」の環境保全活動に協力されている「中池見会」の方が、木の伐採作業をされていました。
観察路周辺が歩きやすいのも、こうした活動があってのことです。

2班は「後ろ谷」で水の生き物調査を行いました。

指導員の先生の指示で小川の中に入って生き物探しが始まりました。

川底を網でさらえて・・・

何か入ってないかな?

おっ!!これは何だ?

この日一番の大物?
実は、放流するために持ってきたナマズです。
かわいいイモリも捕まえました
今回の調査では、70尾の魚類と甲殻類を捕まえることができました。
名残惜しげな後片付けです
指導員の方を先頭に帰りを急ぎます

3班は、保全活動の一環として「耕起作業」に挑戦です。

今回は、前回草刈りに挑戦した場所での作業です。
今日のために、草刈り後も手入れをしていただいていました。

草刈り前の作業地

草刈り後

仮畦作り

草が伸びた作業地

畦の整備

イノシシの被害

今日の活動は、圃場の「耕起作業」と「畦立て」です。
今回使用する機械は、小型の耕耘機です。最初に、使い方について簡単な説明を受け、実際に使ってみました。

今回使った耕耘機

使い方の説明を聞く生徒

作業はこんな感じで行います

最初は、おっかなびっくりで耕耘機を使っていましたが

だんだんと慣れてきて、上手に使うようになりました
「耕起作業」は多少力がいるので、体力がある男子チームが頑張りました。
その頃女子チームは、耕起された泥を畦に引き寄せて「畦立て」に挑戦しました。

畦立てに挑戦する生徒

何かを発見

見つけたのは「根木」のようです

さらに何か発見

オオコオイムシでした

4班は「外来種しらべ」です。

柿の実取りにも挑戦?

5班は「樹木しらべ」です。

いつもの作業を淡々とこなします。

8班は「鳥類調査」です。

デジスコにも挑戦!!


今回も、それぞれの班で課題を持った活動をするといううことで、NikonのS10とCANONのS5の2台体制で行いました。
とはいえ、カメラの撮影総数は、1350枚!!力作をご覧下さい。
小さな写真をクリックすると拡大表示します。

秋の観察会のまとめ(筒井 学 芸員)

今回も、それぞれの班でテーマを決めて活動しましたので、それぞれの班の活動内容を報告してもらいましょう。

1班

約100種類の花と実を集めました。

2班

シマドジョウ

ヨシノボリ

ヘビトンボのヤゴ

3班

田んぼの中から「根木」を見つけました。

4班

春の準備が始まっていることに気がつきました。

5班

樹皮の模様がおもしろく、このようなものを作りました。

6班

19種類の薬草を探しました。

7班

これまで行ったことのない道を通り、色々な木の実を見つけました。

8班

今日は天気がよかったので、たくさんの鳥を見ました。
各班の報告ありがとうございました。
さて今日の観察会は、今年一番といえるような天候に恵まれ、それぞれの班の活動も今年一番の内容ではなかったかと思います。
前回も話したのではないかと思いますが、皆さん一人一人は「たいしたことはできなかったかな」と思っているかも知れませんが、敦賀気比高等学校付属中学校の約100人による年4回の活動、つまり延べ400人の活動というのは、それはそれはすごいことなのです。
身近な環境調べようという場合、大きく分けると二つの方法があります。第1の方法は専門家による調査です。専門家が調査しますから、非常に詳しいことまでわかりますが、お金と時間がかかり、広い範囲で行うということが難しい調査です。
これに対して、私たちが主体になって行う調査があります。この調査を一般に「市民調査」といいます。私たちは専門家ではありませんから、詳しい調査というわけにはいきませんし、正確さという点で専門家の調査に劣ると考えられますが、多くの人で一度に行うことができれば、広い範囲を時間をかけずに調査することができます。
この1年間皆さんが取り組んだ活動というのは、後者の「市民調査」に当たる活動です。こうした皆さんの活動を価値あるものにするには、一人一人の持っている情報をまとめるということが大切です。
今日で、この中池見湿地での活動は終わりますが、2月の発表会に向けてしっかりとデータをまとめていってください。
以上で今日の観察会を終わります。中池見湿地での1年間の活動、ご苦労様でした。

最後に

観察会を締めくくるに当たって、生徒代表から講師の皆さんに感謝の言葉を述べました。
この1年間、ご指導いただき本当にありがとうございました。
僕たちは、今日の観察会で本当に最後になってしまいますが、僕たちの後輩が来年もお世話になると思います。
その時には、これまでのように、優しくそして厳しく指導していただき、中池見湿地の素晴らしさを伝えてください。
皆さん本当にありがとうございました。
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