秋の観察会は、予定通り9月29日(土)に実施されました。

台風17号が接近しつつある状況で、天候が心配されましたが、快晴に恵まれた観察会となりました。

オリエンテーションが行われるビジターセンターに向かう生徒

活動オリエンテーション(筒井宏行・学芸員)

皆さんこんにちは。

天候に恵まれた秋の観察会になりました。

さて、今日の観察会では、皆さんに二つのことを意識してほしいと思います。

一つ目は、「秋」という季節を意識してほしいということです。いうまでもなく、秋は冬を迎えるための準備の季節です。その代表といえるものが木の実でしょう。また、その実をつけるための花が咲き誇っている時期でのあります。つまり、秋という季節は、それぞれの植物の特徴がもっともよく現れる時期であるということです。言い換えれば、我々にとって目の前にある植物の特徴がよくわかり、植物が何であるかを見分けるチャンスでもあるのです。このことを意識して、よく目をこらして植物をみてください。

次に二つ目ですが、「繰り返し」を意識してほしいということです。皆さんは、この中池見湿地に何度も訪れています。そして、今日と同じように中池見湿地を歩き回って、いろいろなものを観察してきました。ここにいる人の中には、「また同じことをするのか」と思っている人もいると思いますが、毎回毎回全く同じことをやってきたのでしょうか。この1年を振り返ると、当然季節が違いますから、その時々で違った風景を見てきたはずです。また3年生にとって、この秋の観察会は3回目になるはずですが、今日の活動はこれまでと同じことをしようとしていますか。多分、これまで出来なかったことや見られなかったことを、この機会にやってみようとか、見てみようとか考えて計画を練ったはずです。つまり、一見同じようなことをやっているように見えても、その中味というのは少しずつ変化し、内容も深まっているのです。

このように、まるで渦巻きの渦のようにして学習を深めていくことを「スパイラル学習」といいますが、これと同じようなことが自然の中にもよく見かけられます。

効率ということを考えると、一直線で目的に向かうことの方がよいように思えますが、先ほどから話をしているように、自然は刻々とその姿を変えているのです。つまり、常に状況が変化し、目的とする方向も微妙に変わってしまうのです。

だからこそ、渦巻きの渦のように、らせん的に物事を進めていく必要があるのかもしれません。

そこで、この「らせん」を意識して、それがどこにあるかを探してほしいと思います。

中池見から世界を考えよう(笹木 進 自然観察指導員)

皆さん、こんにちは。

知っての通り、皆さんが来ているこの中池見湿地は、7月3日(火)付でラムサール条約湿地登録簿に掲載され、ラムサール条約第11回締約国会議(COP11)が行われている中で、日本政府のサイドイベントとして7月7日(土)に条約事務局からの登録認定証授与式が開かれました。

当然こうした国際機関の催しは警備が厳重であり、参加するにしても自分たちが何者で、どのような目的で参加したいのかということを事務局に申請し、登録を受けた後に参加を許されるという段取りになっています。

日本からルーマニアへ

私たちは、なかなか面倒な参加のための登録申請を行い、私を含めた仲間6人とともに、敦賀市の代表である河瀬市長ほか2名とともに会議が開かれるルーマニアのブカレストに向かいました。

私たちは、7月5日(木)の朝、関西空港を発ってオランダのアムステルダムに向かいました。日本からルーマニアへは、直接向かうことが出来ないからです。ルーマニアの首都ブカレストに着いたのは7月6日(金)の午後でした。

ホテルで小休した後、早速会議が開かれる国会宮殿に向かいました。この建物は、かつてのチャウシェスク政権時に賛を尽くして造られ、「国民の館」と呼ばれていたもので、アメリカにある国防総省の建物(通称ペンタゴン)の次に大きい建物です。現在は、ルーマニア議会や国立現代美術館などが入っています。

今回の締約国会議は、その中でも一番大きな、テニスコート以上の広さを持つ会場で行われました。私たちは緊張しながら会場に向かったのですが、レッドカーペットが敷かれた入り口にはたくさんのテレビカメラが待ち受け、日本から来た着物姿の我々に興味津々といった感じでした。

しかし、先ほども述べたように、国際会議の場ですから、中に入るためのセキュリティーは相当厳しく、そのチ工ツクには少しびっくりさせられましたが、出発前に手続きして取得した仮登録証を提示し、それを向こうの係員が照合して、正式の参加票となるカードを支給され、会場内に入ることが出来ました。

受け付けの先にあるロビーでは、世界各国の人だちが行き交い、ウェルカムボードの前で記念撮影をしたり、オープンセレモニーを待つ各国の人同士が賑やかに談笑しながらしばしの時間を過ごしたのです。

その後のラムサール条約締約国会議の映像はユーチューブで見られるので、機会があったら皆さんも見てください。

ラムサール条約事務局長アナダ・ティエガ氏から認定書を渡された河瀬一治敦賀市長

さて、開会式が終了した後には、歓迎のレセプションが開かれました。私たちは、今や中池見湿地のシンボルともなっている手作りトンボブローチを手に、各国の方と交流を深めました。

翌日の7日(土)に、条約事務局からの登録認定証授与式が行われました。

この写真は、同行した福井新聞の記者が撮影されたもので、新聞などで見た人も多いのではないかと思います。

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ラムサール条約・登録湿地認定証

敦賀市役所のホームページより http://www.city.tsuruga.lg.jp/sypher/www/info/detail.jsp?id=9945

授与された認定証はちっぽけなものでしたが、これからも中池見湿地を大切にしていかなくてはならないのだということを強く感じさせられました。

この後、認定を受けたそれぞれの代表者の方が英語でスピーチされました。

当然中池見湿地の代表として河瀬市長が演壇に立ったのですが、市長はこのことがあるということで、前日は一睡も出来なかったといっておられました。河瀬市長は、ユーモアを交えながら中池見湿地のことを熱く紹介され、ほかのどの方よりも会場を沸かせるスピーチをされました。このことで、世界中の多くの方が、中池見湿地という場所に関心を持っていただいたのではないかと感じました。

さて、最後にブカレストの街のことについてお話ししておきましょう。

ブカレストの凱旋門
ルーマニア政府観光局のHPより

ブカレストはルーマニアの首都で、黒海に流れ込むドナウ川河口に広がる「ドナウデルタ」が広がっており、隣接するウクライナとともにラムサール条約に登録されている場所でもあります。

また、かつては「バルカンの小パリ」とも呼ばれた非常に美しい都市で、伝統的な建物がまだ数多く残っています。

その一つが、第一次世界大戦にルーマニアを守って死んだ兵士達を祈念してたてられた「凱旋門」です。

http://www.romaniatabi.jp/cities/bucuresti/index.html

私たちは、開会式と授与式をメインにした2泊3日の慌ただしいスケジュールの中での行動でしたが、こうした美しい町並みや市内の様子など、会議の合間に触れることができました。

特に、盛り上がったのは市内の広場で開かれている朝市へ出かけたときでした。生鮮野菜や果物、蜂蜜やチーズなど、この土地ではのものも多く、完熟のサクランポが最高でした。

こうして、私たちは駆け足でブカレストの歴史や文化、自然などに触れたわけですが、出来ればもう一度、ゆっくりとブカレストの街を回れたらと思いながら、日本に戻ってきました。

観察ミーティング

これまでは、ビジターセンター内で班毎に別れ、観察指導員(TA)の方と活動の確認と準備を行ってから観察会をスタートさせていましたが、今回は、鳥の標識調査の見学のこともあり、それぞれの活動場所に分かれて班別ミーティングをして観察会を始めることにしました。

7班は、指導員の方に誘導されて、茅葺きの家の前でミーティングです。
今日挑戦するのは・・・コンバインを使った脱穀作業です。
まずは、機械の説明からです。機械の中の様子は・・・
使い方は・・・
早速使ってみましょう
今日は、20㎏程脱穀することができました。

ルーティンワークとなっているのは、2班の水質調査です。

誰に言われることなく・・・いつもの場所で・・・
いつもの調査を行っています。
「秋の七草って知ってますか?」4班は早速、七草探しです。
ススキはすぐに見つかりましたが・・・
カメを見つけたり・・・
アレ?!今日の目的は何だったっけ?
ビジターセンターの玄関では、3班が田靴を準備しています。
今日の活動は・・・
もちろん、水田の調査です。
目的は、水生植物の調査ですが・・・
いろいろ見つかるね。
オニヤンマの産卵シーンにも遭遇しました。
6班が向かった先は・・・標識調査を行っているところです。
ここでは、鳥を捕まえ・・・
足輪をつけて放します。
調査のための道具類
実際の網場を見学
これがカスミ網
茂みの中には、カセットデッキが・・・鳥の声を流していました。

あっちで座り込み、そこでは覗きこみ、こちらではガヤガヤと話し込みながらの観察会。

それでも、集合場所に集まってきた生徒たちは、それぞれの成果を手にして少し誇らしげな顔でした。

秋の観察会のまとめ(筒井宏行 学芸員)

皆さん、今日の観察会はいかがでしたか。

今日の観察会は、本当に内容が盛りだくさんの観察会になったと思います。

今日の観察会で、どのようなことができたのかを発表してもらいましょう。

活動報告

1班

私たちの班は、トンボの調査をしました。たくさんのトンボを見つけることが出来ましたが、夏に比べ少なくなったように思いました。

2班

水質調査をしました。

前回に比べて、気温が高かったり、水が少なかったりする場所がありました。

3班

復田されたジャダニの田んぼにも絶滅危惧種の植物が生息していて、どんどん復活しているのだと分かりました。

4班

夏に比べて生息している植物は少なかったように思いましたが、食草は比較的多かった。 しかし、まだ時期が早かったのか熟していない、すっぱい植物や渋い食草があった。

5班

毎年のようにアメリカザリガニを駆除しているので、大きいアメリカザリガニが少なくなっている。

ミシシッピアカミミガメの駆除をしようと思いましたが、見つけられませんでした。

6班(鳥班)

標識調査をしているところを見学しましたが、意外といっぱいの鳥が捕まっていました。  また、鳥は思ったより小さく感じましたが、その大きさに比べても軽いことがわかりました。

7班

みんな初めての脱穀に挑戦して、みんなで楽しめた。

また、民家の工夫をたくさん知ることができました。

8班

2班に分かれて、オオアレチノギクとヒメムカシヨモギなどの外来種の分布調査と除去を行いました。

発表を前にしてそれぞれの班の発表を任された人は、何を発表したらいいかを考えます。 でも、困った時は・・・指導員のに相談しましょう。

はい、ありがとうございました。

活動を始める前に皆さんに伝えたことが二つありましたね。

一つは、秋を意識してほしいということでしたが、今、各班の活動報告を聞いていると、それぞれの班で秋を意識した観察が出来たのではないかと感いました。

さて、もう一つは何だったでしょうか。

そうですね。「繰り返し」ということを意識してほしいということでしたね。皆さんは、どんな繰り返しを見つけられましたか。

例えば、2班や5班の人は、毎回同じことを繰り返して調査をしており、私たちより先になって歩き始め、それぞれの場所でやるべきことを繰り返すことが出来ましたね。皆さんの中には、同じことを繰り返してばかりでつまらないなと感じている人もいると思いますが、これも立派な「繰り返し」です。その証拠に、こうして繰り返して調査して得られたデータを元に皆さんは2月に行われる発表会ですばらしい発表が出来るのです。ほかの班の人も、やっていることは少し違っても、きっと同じような目標を持って繰り返し調査しているのだと思います。

こうした私たちの活動とは別に、自然の中に繰り返しを見つけた人はいませんでしたか。

例えば、このセイタカアワダチソウを見てください。何か気がつきませんか。

そうですね。葉の付き方がうまく繰り返されています。そして、それも非常に規則的なのです。

後で、もう一度見てもらえばわかると思いますが、下のある葉から順番に追っていってみてください。まるで螺旋階段を上るように葉がついていることが確かめられます。

これは、自然の中に隠れている「繰り返し」の一つの例です。これと似たものを、後ろに見えるクズのようなつる性の植物にも見ることが出来ます。「何かに注目すること」これが自然をよく理解するために必要なことなのではないでしょうか。


余談 -実習(脱穀)を前に。稲刈りに挑戦!!-

秋の観察会を前にした9月13日(木)に、「中池見 人と自然のふれあいの里」の民家前の田んぼで、有志による稲刈りを行いました。

本来ならば、週末に行う予定でしたが、都合により木曜日の授業が終わってから「ふれあいの里」に向かい、16時から作業開始です。

「ふれあいの里」の職員の方やNPO法人中池見ネットの皆さんの協力もあって、あっという間に稲刈りがすみました。

刈り取った稲は、近くにもうけられている「ハサバ」に持って行き、きちんと並べてかけて乾かしました。

全ての作業が終了することには、太陽も山に隠れようとしていました。

参照・引用 http://blog.nakaikeminet.raindrop.jp/?eid=337